『貴様ローディストだな』この言葉に怯えたあの時代

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『貴様ローディストだな』90年代の踏み絵

『貴様ローディストだな』
この言葉に全オタクが怯えた時代があったことを、あなたは知っているだろうか?

その言葉は、伝説的(?)オタク雑誌『ファンロード』で生まれました。
(厳密には、ゴルゴ13の中にでてきた「貴様プロだな!プロに違いあるまい!」というセリフに由来しています)

まだオタクやオタクカルチャーが、今ほど認知されていない時代。
アニメやゲームといったサブカルチャーを愛好することが、「恥ずかしい」「隠しておきたい」と思われていた時代。
「ローディスト=ファンロード読者」である同好の志を見分けるために使われた、隠れキリシタンの祝詞のような言葉でした。

そんなファンロードの思い出を、当時を振り返りながら書き連ねてみようと思います。

運命の出会いは図書館で

アニメや漫画は好きだけど、「アニメージュ」や「アニメディア」を毎月買うお金はない。
それに、買って家に持って帰るのはちょっと恥ずかしいし・・・。
そんな甘く切ない時期が、かつて私にもありました。

そんな私の淡い望みを満たしてくれたのが図書館でした。
そして、メジャーな雑誌、「アニメージュ」、「アニメディア」に並んで、それはあったのです。
そう、奈落への扉の第一歩。「ファンロード」が。

ファーストコンタクト・切り抜きだらけのヘンな本

手に取ったはいいけれど、正直、それが何の本か気づくまでには時間がかかりました。
漫画雑誌のようではあるけれど、さりとて漫画はそれほど載っていない・・・。
色んな人が描いた絵が載っている・・・。
毎月特集が違う・・・。
おまけに、図書館に置いてあったその本は、切り抜きだらけでした。

おそらく、誰か借りた人が気に入った絵を切り抜いたんでしょうね。
ひどいことするなあ、と思うと同時に、そんな状態でも平然と貸し出されていることに当時はあっけにとられたものです。

そして数冊目を通した私が理解したことは、
「どうやら、同じ漫画を好きな人同士が投稿して辞書を作っている本らしい」。

うーん、あたらずとも遠からず。

今月の高橋留美子、富樫義弘、和月伸宏、高田裕三、車田正美

上記の言葉に戦慄した諸兄もいらっしゃるのではないでしょうか。
そう、私が読んでいた時代は、まさにそんな時代でした。

「今月の●●●●(作者名)」というコーナーは、特に人気のある数人の作家さんに対して、毎月ファンページが組まれているというものでした。

私の場合、環境的にあまり周りにオタク友達がいませんでした。
なので、こういう特集を見て、「同好の志が全国のどこかにいる!」とうれしかったんですよね。

そして、思春期の吸収力をいかんなく発揮し、私は人知れず順調にオタク知識を身につけていきました。

ファンロードの漫画に影響されて、りんごダイエットをしたりもしました。
「郵便小為替」、「切手を貼って住所を書いた返信用封筒」、「ペーパー」、「●●さんに捧ぐ」、「やさい・くだもの」、「緑川光は自称のあだ名がグリーンリバーライト(柴田亜美先生の「勇者への道」で言ってた)などの、知らなくてよい知識をしこたま手に入れました。

そのうち、時代が「今月の藤崎竜」などに移っていった頃・・・。
幸か不幸か、公私ともに忙しくなってきて、自然と私はファンロードから離れていきました。

そしていつしか、オタクカルチャーがネットに舞台を変えていき、発行していた出版社の都合が悪くなる中、ファンロードは時代の波に消えていきました。

どっこいわりと生き延びてたファンロード魂

記事を書くにあたり、ふとファンロードのウィキペディアを見たら。

出版社を変えて、さらには媒体を紙から電子メディアに変えて・・・。
ファンロードはつい2012年まで生き延びていたとのことです。
す、すごい・・・!

これは、オタクのオタクたる性というか、モノを大事にする(してしまう)心の現れなのかもしれませんね。

「いつまでもあの場所にあり続けてほしい」という気持ちなのかもしれません。
だからこそ、こうして私もふと思い出して書き留めたくなりましたし、あの頃のオタクカルチャーを生きていた友人たちと、今でも語り合って笑えるんじゃないかな。

時代が変わっても、メディアや風当たりが変わっても、誰かと好きなものを語り合いたいという気持ちは、きっとこれからも変わらないのではないでしょうか。
それはとても素敵なことだと、私は思います。

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